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September 2019

2019.09.29

「PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」

とにかくよくできたストーリーで、結果がわかっているとはいえハラハラドキドキしたり感動したりした。ビジネス書としても勉強になるところもあるし、本当にオススメの1冊。

出てくる人たちが皆めちゃくちゃ優秀で、それもその道のプロとして優秀というだけでなく、ジョブズを操縦できる(ジョブズの言葉の翻訳の風味のためか、大人な著者からの視点だからか、本書でのジョブズは可愛く思えてしまう)人間的スキルまで完璧という。傑物がたくさん出てくる時代小説でも読んでいるような気分も味わえる。

登場人物の中で印象的(小ネタ的なところだけど)だったのは、「エンタテインメント・ビジネス―その産業構造と経済・金」というマニアックな本を書いたハロルド・ヴォーゲル。著者はピクサーに来た当初、エンタテインメント業界でのビジネスを学ぶのにこの本を読み込み、とにかく厳しい構造であるということを学ぶ。
そして、PIXARのIPOの際にエンタテインメント業界へのお墨付きを与える役割を彼と彼の投資銀行に依頼する。

そんなことは止めたほうがいいよと言われるかもしれないと思っていたが、返ってきた言葉は違った。 「詳しい話をお願いします。ピクサーはおもしろそうだと目を付けていたんですよ」
 想像もしていなかった反応だ。私は、ピクサーのストーリーをいつものように語った。 「うーん、いいですねぇ。実にいい。エンターテイメント業界で必要なものがぜんぶそろってるんですね」

PIXARの成功後、その本の改訂版に、PIXARが例外的に成功を収めたことやその理由が追加されていた、という渋いエピソードもよかった。

2019.09.28

ブレードランナー2049

ちょうど少し前に「デンジャラス・デイズ」を観て、ブレードランナー製作時のリドリー・スコットと制作会社との間での対立(なので色々なバージョンが生まれた)や、限られた予算(完全にオーバーしてたみたいだけど)であの視覚効果を作り出したことなどがとても印象的で、気持ちが盛り上がった状態で本作を観たのだった。

以下、ネタバレあり。

ライアン・ゴズリングはいかにもレプリカントという感じで、ブレードランナーの世界にもマッチしていたし、映像や音楽も前作の雰囲気を引き継ぎながら豪華になった印象で、期待できる序盤だった。
が、話が全然盛り上がらず、そしてデッカード再登場からの展開でも、結局のところ前作からの謎の結論はなし。

雰囲気でブレードランナーの世界を描きつつ、何も描かない、という残念な作品になってしまっている。
これで続編を作っても、結局人類対レプリカントみたいな話しか想像できない。

ウエストワールドでも思ったけど、この手の設定の作品って、どうしてもターミネータの前史物語になってしまうような…。それでもウエストワールドは楽しめてるけど。

2019.09.20

グレッグ・イーガン「ひとりっ子」

グレッグ・イーガンの短編集。

以下、ネタバレあり。

最初の「行動原理」が一番よかった。
恋人を殺した人間に復讐するため、人間は肉の塊に過ぎないという信念を生じさせるインプラントを使用した主人公。仇を何なく殺すことができたが、亡くなった恋人に対する愛や、彼女を失った悲嘆までがバカバカしくなってしまい、その安らぎに気づいてしまうという皮肉な結末が切なかった。

2019.09.16

「THE ONE DEVICE」

iPhoneの開発ストーリー的なもの、特にその商品コンセプトはどこから(もちろんスマートフォンというコンセプト自体は相当前から多くあったことはわかった上で)来たのかには興味がある。

「スティーブ・・ジョブズ」(今、このブログに感想を上げていないことに気がついた)ではジョブズの視点からROKRの失敗から携帯電話を自分たちでやろうと決めたというきっかけが書かれ、「ジョナサン・アイブ」ではその前にIDgにマルチタッチ技術が紹介されたところまで遡っている。

そして本書ではさらにその前、ENRIという実験プロジェクトがマウスとキーボードに代わる入力テクノロジーを模索していて、偶然フィンガーワークス社のトラックパッドに出会うところまで遡れる。フィンガーワークスが目指していたもの、またENRIチームを始めとするiPhone開発の重要人物たちのバックグラウンドなどが描かれていて、ピースが埋まっていくようで面白かった。

ただ、それらのエピソードを、Appleの秘密主義の壁を乗り越えて元従業員たちから集めたとしても1冊の本にするほどの分量にはならず、iPhone(というよりスマホ全般だと思うが)を構成する素材や技術を遡り、また廃棄されたiPhoneの行き先などについても取材をしている。
正直これらはオマケでページを埋めるためだけのものかと思っていたが、こちらもFoxconnの工場の様子など予想以上に興味深い内容だった。

他、iPhoneのインタフェースが映画「マイノリティ・レポート」からかなり影響を受けていたこと、手ぶれ補正技術はPanasonicのブレンビー(懐かしい!)の頃開発されたものが今の標準になっていること、アップルとグーグルが良い関係だった頃のMapやYoutubeアプリの開発エピソードも意外なところだった。

一番笑ってしまった(でも怖かった)のは、やはり鉄板のスティーブ・ジョブズのエピソード。
iPhoneのKeynoteでアドレス帳のデモをする際に、トニー・ファデルを削除して、その後ファデルをクビにしたという…。

「どうせいつかは起きたであろう社内政治、すなわちトニー(・ファデル) の社外追放を一段と早める結果になりました。それは予告されていたのです。彼(ジョブズ) がデモのなかで、スワイプしてトニーを削除した場面を見たでしょう。デモの導入部で、〝連絡先〟の管理がいかに簡単かを見せた場面です。(連絡先を) スワイプ一つで削除する操作をしながら、〝何か不要なものがあれば、難しいことは何一つありません。ほらね、ただスワイプ一つでいいんです〟とかそんな感じでした。そこで削除された名前はトニー・ファデルでした。」

「僕は〝マジかよ……〟って思いました。開発プロジェクトに関わっていたアップル社員はみな〝なんてこった〟って感じでした。あれはメッセージだったんです。彼は要するに『トニーは出て行く』と告げたんです。なぜなら、リハーサルではトニーを削除などしなかったんですから。リハーサルの時は、そのたびに適当に選んだ別の人を削除してました」



2019.09.09

The Boys

Amazonオリジナルのテレビ作品。
あれだけマーベル映画見てるのだから、当然オススメされた。
パロディっぽいのはそれほど観たくないし、このタイトルの画が気持ち悪くてしばらく避けてたのだが、観てしまった。

以下、ネタバレあり。

R18でやはり色々とエグいし、暗い。最初の3話くらいは我慢しながらちびちび観ていた。
ただ徐々に面白くなってきて、最後の3話くらいは一気に見て、次のシーズンが待ち遠しくなっている。
それでも今の所救いがなく、観ても爽快感はないのだけど…。

正義の味方面したスーパーヒーローに狙われることが思った以上に怖いとわかった。ホームランダー怖すぎ。
「シビル・ウォー」ではスーパーヒーローたちの力を統制するためのソコヴィア協定(これが原因でアベンジャーズが分裂する)が描かれていたが、確かにそういう協定が必要だな、とようやく納得できた(笑)

The Boysのリーダーのブッチャーを演じているのが、スター・トレックのリブートでDr.マッコイを演じている人だったのは途中まで気づかなかった。(主人公の父親役のサイモン・ペグは同シリーズでスコッティを演じている)
また、ヴォートでホームランダーを操る黒幕的存在のマデリンを演じるのは、バック・トゥ・ザ・フューチャーでジェニファーを演じていた人だったのも意外だった。

登場人物で好きなのは、フレンチーの謎の彼女(?)。The Boysの危機を救うべく、電話をもらうやすぐ自分の部屋を爆破してホームランダーの注意をそらしたり、ヴォートの動きを電話で伝えた後、電話を叩き壊して証拠隠滅するなど、只者ではない。

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