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August 2019

2019.08.31

「最弱球団 高橋ユニオンズ青春記」

僕の世代のプロ野球ファンなら「プロ野球ニュースの佐々木信也」は絶対に知っているが、佐々木信也が所属していた高橋ユニオンズのことは、名前程度しか知らないだろう。

わずか3年しか存在しなかった高橋ユニオンズを扱った本書は、プロ野球好きにはたまらない本だった。

プロ野球の歴史を感じるいくつものエピソード、そしてタイトルにある「最弱球団」に関する部分はまさに「すすめ!!パイレーツ」の世界。
この球団に関係した人々の「青春」も描かれていて、しんみりとなるところもある。

そうだったのか!というエピソードとしては、以下のようなものがあった。
・この球団が個人所有の球団として発足した
・スタルヒンが300勝をあげたのは高橋ユニオンズの選手として
・高橋ユニオンズに一時在籍した小川健太郎投手は後に中日ドラゴンズに入って、王貞治に背面投げをした
・元広島カープの黒田博樹の父である黒田一博は南海から初期メンバーとして高橋ユニオンズに移籍した
・佐々木信也は、高橋ユニオンズ解散後移籍した大毎オリオンズで西本幸雄にクビにされた。後にプロ野球ニュースで一緒に仕事をするようになって当時のことを改めて問い詰め、西本幸雄からずっと謝ろうと思っていた、と言われた(クビになっても食いっぱぐれなさそうな人を選んだのだと)。

また出てくるチーム名から、当時のプロ野球は新聞、映画、私鉄のチームが多かったことがよくわかる。

パイレーツっぽい話もたくさんあって、笑える。
初期メンバーとして他球団から出された選手リストをみた感想、

(山本のヤツめ、自分が扱いきれない酒好きのヤツらばかりを押しつけやがった)
(こちらも、もう使い切った連中ばかりじゃないか。それにみんな呑み助ばかり)

とにかく弱くて、低勝率の罰金(当時ある勝率を下回るとかなりの罰金が球団に課せられた)を回避するために、消化試合で相手に勝ちを「事実上」譲ってもらったことなど。

マジメなところでは、当時も今もプロ野球のあり方、球団経営のあり方に課題がたくさんあるのにほぼ放置されてきたことは本当にガッカリさせられる。もっと健全に、ファンが納得できるようなプロ野球界になっていってほしい。

2019.08.19

「PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則」

参考になることがたくさん書かれていて、読むのは大変だったが本当に良い本だった。

著者が記すPRINCIPLES「原則」は個人的なものから、会社としてのものまで多岐にわたる。

個人的なところでは、(一応自分で発見したつもりでいたのだけど(笑))まさに「螺旋を描きながら上昇していく」という概念が、他の理論等を引きながらより整理して説明されていて、改めて納得しまくりだった。

会社としては、組織として質の高い意思決定を行うための原則が、どれも参考になった。

この本、というか著者のレイ・ダリオがすごいと思うところは、その原則を人に叩き込むのではなく、ツールを使って客観的に誰でも利用できるようにしていること。これが本書と他のビジネス書とを決定的に分けているところだと思う。

レイ・ダリオは自らツールを作る、つまりプログラムを設計・開発していたようで、体系を整理し仕組みを作ること(ツールを作ってコンピュータに任せることは任せる)といった考え方に徹している。

今会社でやっている仕事は、始めた時にはソフトウエア開発からは程遠いと思っていたことなのだが、やっている内にその考え方や経験を使える部分は少なくないと感じていたところだった。本書を読んで、その理由とか今後に活かしていくヒントがたくさん得られた気がする。

本書に書かれてあるとおり、彼はそのツールを公開しているのだが、International版は今年の終わりになる(現在はUSだけ)とのことで、待ち遠しい。

2019.08.14

「自叙伝 ジャン=リュック・ピカード」

全くの偶然で見つけた本だったが、これを読まない人生は考えられない(笑)と思うほど楽しめた。

本書は、スタートレック・ネクストジェネレーション(TNG)の主人公であるジャン=リュック・ピカードが書いた自叙伝というフィクションなのだが、著者はスタートレックシリーズのファンでもありライターでもあるので、「らしさ」とファンサービス(若干気前良すぎな気もするが)をうまく両立させている。
中でもピカードの父と兄との確執はピカードという人物形成に大きな影響を与えたことがわかるし、テレビのエピソードで兄と和解することの背景に深みが加わって、感動的だった。
その他、ガイナンを始めとするエンタープライズの各クルーとの出会いや、テレビでちょくちょく出てくるピカードの旧知の人たちとのエピソードも面白い。後者については、ピカードがロキュータスになって彼らと戦ったことの辛さがより理解できた。

ただ、TNGを全話みたのはだいぶ前だし、かなり忘れているところもあって、改めてこの本を読みながらじっくりと時間をかけてまた全話みてみたい。

2019.08.10

アメリカの友人

読んだ本や映画で引用された別の本や音楽、映画、また映画の原作など、に興味を持って、それがきっかけで良いものに出会ったりするのは本当に幸せなことだ。
本作は思いがけないことから、意外に知らなかったことを発見して、トータルで楽しい体験となった。

起点は映画だった。ヴィム・ヴェンダース作品でブルーノ・ガンツも出ている。
色彩が印象的な映画は大好きで、本作も冒頭から青い絵、赤いフォルクスワーゲン、黄色いレインコート、赤茶色の建物、赤いベッドという場面が続き、それにカウボーイハットのデニス・ホッパー、髭のブルーノ・ガンツもいて、それだけでもう本作を気に入ってしまう。

以下、ネタバレあり。

ヨナタン(ブルーノ・ガンツ)が殺人を依頼されるも、それでもなんとなく牧歌的な展開になるのだろうという予想を裏切り、本当に一線を越えてしまう。やがてトム・リプリー(デニス・ホッパー)との対照的な人生を超えた友情が芽生え、互いに助け合うようになる。両者が持つ義理堅さのようなものがうまく描かれていたと思う。
混乱したのはラスト。ヨナタンが笑いながらトムを置いてけぼりにするのも、こんなことに巻き込んだ友へのいたずらのように見えるので、まだわかる。が、ヨナタンの病状は本当は悪くなかったのに、なぜか死んでしまい、また意味ありげにダーワットが出てエンド・クレジットというところでよくわからなくなった。

これは原作を読んでみないと…となって、原作にあたってみたのだった。
原作を読むと色々と違っていて驚く。ヨナタンはドイツ人ではなくジョナサンというイギリス人だし、トムはカウボーイハットなどかぶってなくて、大富豪の令嬢の妻がいる。ジョナサンが死ぬ原因も病気ではなくトムをかばってのことだった。ジョナサンの妻のシモーヌもより物語に深く関係していて、ラスト近くでシモーヌがトムに唾を吐きかける部分も印象的だった。
結論としては映画は映画でまさにビジュアルを楽しめたし、原作もまた別の面があって面白かった。

で、一番驚いた発見が、このトム・リプリーの正体。なんと「太陽がいっぱい」でアラン・ドロンが演じたトム・リプリーだったのだ!つまり本作は原作では「太陽がいっぱい」の続編なのだ。そらカウボーイハットはかぶってるはずないないだろう(笑)。
作中に昔殺した友人の名前が出ても全然覚えてなかったが、まさに「太陽がいっぱい」で殺した大富豪の友人のことだった。
シャバでトムがこんな活躍(?)してるのだから、「太陽がいっぱい」のラストも映画と原作とで違うのだろう。こちらもさらに読んでみたくなった。

2019.08.04

アンドロメダ…

1971年の映画で、B級SF作品を予想してみたのだが、完全に期待を裏切られた。もちろんSF作品でもあり荒唐無稽な部分もあるのだが、リアリティとそれを組み合わせた世界観がとても硬質なもので最後まで醒めることなくストーリーに入り込めた。
見終わって知ったが、原作は流石のマイケル・クライトンだった!

以下、ネタバレあり。

想像と違ってアウトブレイク+SFといったストーリー。
冒頭で、最後の盛り上がりのネタはわかってしまうのだが、それでも自爆を止める流れはかなりハラハラさせられた。
コンピュータや種々の機器、軍のプロトコルなどがかなりリアルに思えたし、特殊映像も1971年にしてはかなり頑張っていると思わせるものだった。
そして何より、ラストまで続く未知のウイルスの怖さが印象的だった。

ちなみに、原題は"The Andromeda Strain"でこの映画の主人公とも言える「アンドロメダ菌株」のことなのだが、邦題の最後の3点リーダは何を言いたいのだろう…。言い切らないことで、僕みたいに宇宙人か何かが出てくる話だと思って見る人を期待したのか?

2019.08.01

ソーシャルメディアの“掃除屋”たち

NHKのBS世界のドキュメンタリーでみた。見終わった時、絶望感と怒りの入り混じった感情が残った。

本ドキュメンタリーは、ソーシャルメディアに投稿される有害コンテンツを削除する仕事をしているコンテンツ・モデレータと、それを取り巻くソーシャルメディアとリアルな世界の、見たくない面に光を当てる。
コンテンツ・モデレータはこれらソーシャルメディア企業の社員ではない。アメリカ人ですらない。アメリカのソーシャルメディア企業は、これらの仕事をフィリピンの企業に委託しているのだ。

コンテンツ・モデレータたちは膨大な数の有害コンテンツを見せられ、心を病み、自殺した人もいる。
ソーシャルメディア企業は人々の怒りを煽ることで注目を集め、自身のプラットフォームの価値を上げようとしている。
有害なコンテンツへの対応はしっかりやっているとアピールしつつも自らの手は汚さず(コンテンツ・モデレータを直接雇用せずケアもせず)、海外企業に委託している。

利益を最大化するという行動としては理にかなっているのかもしれないが、ソーシャルメディア企業の強烈な邪悪さには怒りを覚えるし、それに簡単に扇動される人々の姿には絶望してしまう。
(一方でこのドキュメンタリーで描かれていることが全て本当なのかということも自分では確認できないのだが)

昔はFacebookは好きだったのだが、昨年からの一連の出来事でFacebookのことは全く信用せず、距離を置いている。
それでも演出の意図通り、ラスト近くで無邪気に(本編を見た後には「白々しい」としか思えないが)Facebookが成し遂げる素晴らしいことについて語るザッカーバーグの姿は、見ていられないという気持ちになった。

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