「メイド イン ジャパン 驕りの代償」
やはりKindleセールで499円になってたときについ買ってしまった本。
著者が記者時代を含めて多く取材した、パナソニック、シャープ、日産、トヨタを中心に、苦境に陥る日本企業の問題点と、提言が書かれている。
苦境に陥る企業に関してはここぞとばかりに叩きまくり、中にいた者として同意できる部分はあるものの、あまり趣味がよいとは思えなかった。
企業より自分を優先する経営者と、そんな経営者に気に入られて重要ポストに就く取り巻き。そんな自分たちでは考えることができない経営陣に対して、本当に優秀な人材は活用されることなく各部署に囲い込まれる…。おそらくある程度の規模の日本企業で働く人に聞くとみんな同じようなことは言うのではないだろうか?
なので、こういうのは被害者意識的な誰でも言える不満で、実際はトップはもっと複雑なパラメータを睨みながら意思決定している、と考えるようにしていたのだが、あらためてそこを繰り返し書かれると、ガックリしながら本当なのか?と思ってしまう(これは本書の責任ではないけれど)。
一方で日産のゴーン革命での、明確なビジョンを持ち自ら考えて動くトップのもと、過去のしがらみにとらわれることなく改革を進めていく様子は、確かに他の日本企業には真似できないやり方だと思う。
平等に大量採用して、その中で結果を出したものを経営者にする、というやり方はこれからは通用しなくて、最初から幹部候補として育てられた中から(あるいは外から)選ぶ方がよいのかもしれない。
その点、まさにそのように育てられた豊田章男氏の今後は興味深い。あわせて紹介されていたトヨタの大政奉還の裏側も、当時は興味もなくあまり追いかけてなかったので、おもしろかった。
小ネタとして爆笑してしまったのは、パナソニック・ショックのきっかけとなる2011年10月の中間決算記者発表の「大阪電機軍団」(笑)以下引用。
最前列には、いかつい坊主頭の記者6人が陣取り、会見場はいつもとは違う殺気立った異様な空気に包まれていた。
6人は、日本経済新聞大阪経済部の記者だ。丸刈り姿で「夜討ち朝駆け取材」を繰り返し、企業を擁護することが多い日経にしては珍しく厳しい批判記事を書いてきたことから、企業の広報関係者の中では「大阪電機軍団」と恐れられていた。
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ま、思うに、組織が田舎だったと思います。つまり、人の出入りが少ないし、外から人が来ない。中の人は、沈むまでしがみついているという。
海外の会社は、会社で、それは、また、いろいろ問題は、多いのですけどね。ただ、個人と会社の力の均衡は、USなんかの方が個人は強くて、変な事していると人が逃げて行ってしまうという。
Dangerがだめになったのも、近くに、Googleがあって、幹部がAndroidやGoogleに抜かれて、芋づるで人が出て行って、会社を維持するのが大変だったという。
まだ、日本は、そこまでいっていない感じだと思う。
Posted by: heridesbeemer | 2014.02.07 09:24 PM
日本でもWebサービス系のベンチャーなんかは、業績の浮き沈みが激しいせいか、人がよく流れている気がします(シリコンバレーとまではいかないかもしれませんが)。
大企業になるとおっしゃるとおりですね。会社に不満を持ちながら、我慢して働いている人が多いというのは双方にとって不幸ですね。
Posted by: ウクレレとりっぷ | 2014.02.08 11:26 AM