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2006.11.05

町田康「パンク侍、斬られて候」

パンク侍、斬られて候「告白」もほんとにすごいと思ったが、さらに上だと思った。

これまでの町田康の作品は、この世界への疎外感がどんどん大きくなっていって破滅へと向かう内向きの狂気を描いたものが多かったと思う。「告白」では最後にその狂気が外へ向けられていたが、この作品ではこの世の中や社会への激しい憎悪が剥き出しになっていて、さらに攻撃的になっていると感じた。

最初はなぜ時代小説なのだろう?と思ったが、もともと時代小説には藩政をめぐる人間関係やそれに巻き込まれる主人公といった異世界サラリーマン小説のような一面があって、それを利用したかったのかもしれないと思った。
つまりそういう時代小説パロディとして笑わせながらも、ただ笑ってはいられず心に突き刺さるような、ビジネス社会とそれに属するあるいは操られる人たちを攻撃する言葉が詰まっているのだ(音楽業界を意識しているように読めるが、結局のところそこだけが特別ではないのだろう)。

  • 名も実も守らず、ただ自意識だけを守ろうと「永遠の不戦敗」を狙うナイーブな最近の若侍
  • 権力者に取り入って口先だけでうまく立ち回り、まずくなるとすぐに人に責任を転嫁しようとする「詐欺師のような人生」を送ってきた武士
  • 自分をいったん離れて物事を考えることができない、自他の区別がついていない「ボクボク病」の超人的剣客
  • ビジネスは戦争だから兵は駒で命じられるままに突入すればよいのだ、という権力者(「『僕は納得いかないうちは仕事をしません』などとほざく70年代フォークソングみたいな心のやさしみを求めて会社に入ってきてもだめだ。」というセリフも吐く)
  • 行列があればなんの行列かわからなくてもとりあず並び、売れていると聞けば買わなきゃと思い、芝居を真実だと思い込み、著名人を敬慕しつつ憎悪する、絶対に自分の脳でものを考えないが自分はユニークな人間だと信じている人々

ついついたくさん書きすぎてしまったが、町田町蔵/INUの"All The Old Punks"を思い出すほどの激しい小説だと思う。

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